やわらかい体をつくることがダイエットにつながるの?
第一に「体を温める」、2つ目は「筋肉をほぐす」、3つ目が「ストレッチ」、4つ目に「軽運動」。そして5つ目が「運動」になります。
ランニングや水泳、筋トレなど、体にある程度の負荷のかかる運動を継続的に楽しくできるようになれば、血液循環の改善はもちろん、体の各部の細胞も活性化していきます。無駄なエネルギーが体にたまって病気を招くリスクも低くなります。太らない人生に入った、ということになるわけです。
「でも、それぞれ単発で発作的に、やったとしても、効果はあまり持続しません。重要なのは「これらを組み合わせてやっていく」ということなんです。例えば、お風呂に入って体をもみほぐす、出たら体を温めるショウガ紅茶を飲んでからストレッチ をやる、軽運動をやる。こうして 複合的に筋肉の柔軟性を回復させることによって、今まで眠っていた体のすみずみが目覚め、血液が行き届くようになり、代謝が活性化するようになるわけです。その効果が、ソファでぼーっと している安静時にも続いていることが大切なんですね。
STEP1
体を温めるためのいろいろな方法
~冷える前に、体の外側からも内側からも温める~
「冷え症の治療は予防が大切」、と言われます。冷えは、いったん体に入るとなかなか取れないからです。人間の体は、水をわかすように単純に温かくなりません。体調や精神的な要件も、体温に深く関わっているからです。「体が冷える前」にということをいつも意識して、以下のことを積極的に行うのがよいでしょう。
①お風呂につかる
お風呂で温まるというのは当たり前のことかもしれませんが、とても大事です。
夏はシャワーで済ませてしまうという人もいますが、冷房によって体の深部は知らずに冷えています。シャワーだけでは、体の深部の血管まで温めることはできません。また、熱いお湯で「カラスの行水」というのも、あまり効果的ではありません。38度くらいのぬるいお湯にのんびり20分間くらいつかっていれば、皮膚の表面で温まった血液が体の深部まで繰り返し届き、芯から温まります。もちろん、さら湯よりも各種の入浴剤を利用すればより効果的です。
②ホットパック
筋肉などを体の外から温める方法です。最近は電子レンジで温めて、首まわりの肩に乗せて、拘縮した筋肉を温めてほぐすグッズが市販されています。冷めたら何度も繰り返しレンジで温めて使えます。 そっと長時間温めたいなら、防寒用の使い捨てカイロを使いましょう。衣服に貼ったり靴の中に入れたりもできるので、体のいろいろな部分を温めるのに便利です。
筋肉の拘縮は、「こり」や「痛み」につながります。慢性化した頑固な痛みも、血液がよく循環することで症状が軽くなります。
③温かいものを飲む
「真冬の寒い日でも、温かい鍋をつつけば体がホッカホカになります。温かい飲み物を飲むことは、体を内部から温める、とてもカンタンな方法です。
体を温める成分が含まれている飲み物であれば、さらに効果的でしょう。
漢方薬でも使われているショウガは、体を温め、臓器の働きを活発にする作用があります。
ショウガ紅茶などは、おすすめです。熱い紅茶にすりおろしたショウガを小さじ1杯ほど加えて、ハチミツを入れて飲みます。風邪を引きそうな時にも有効です。
④湯たんぽを使う
寝るときに足が冷える人は、昔ながらの湯たんぽを使うとよいでしょう。日本の昔からの防寒用具ですが、最近また見直され、おしゃれなものがいろいろ市販されています。
ただし、湯たんぽを使うときは低温やけどに注意しなければいけません。温かくて気持ちいいなと思っていても、そのまま眠ってしまうと長時間皮膚に接触して、低温やけどを起こしてしまう危険があります。 十分に足などを温めたら、眠りにつく前に寝具の外に出して眠るようにしましょう。
⑤もも上げ運動、スクワット
下半身の筋肉はとても大きく、全身の骨格筋の7割を占めます。ここを鍛えることは、
基礎代謝を上げるとともに体を温めることにもつながります。
毎日できなくても、思いついたら、筋肉が落ちない程度に、こうした運動を意識することが大切。例えば、駅の階段を積極的に使うことも立派なもも上げ運動です。
STEP2
体をほぐすためのいろいろな方法
~マッサージの基本的な方法を知っておこう! ~
マッサージが流行っています。それだけ、慢性疲労が重なって筋肉が硬くなっている人が増えているのです。これは同時に、基礎代謝が低下して、太りやすく、やせるのが難しい状態でもあるわけです。頭痛、腰痛、冷え症などの症状を伴うことも多く、全身的な血液循環不良が問題になっているケースが少なくありません。 マッサージは、自宅でもできます。コツを覚えてストレッチや就寝前に行うと「体をやわらかくする」効果はさらに上がります。誰かにやってもらうと、さらによいでしょう。
①さする(軽擦[けいさつ]法)
両てのひらを使って、ほぐしたい筋肉をサーッサーッと軽くさすります。手の力を抜き、指先に意識を集中させて、心臓から遠いほうから一方向に向けて(往復させないで素早くさすっていきます。さすられる筋肉を脱力させ、リラックスして行いましょう。
②てのひらで押さえる(圧迫法)
「てのひら全体で、ゆっくりと下へ押さえ込んでいきます。放す時も、ゆっくりと手の力を抜いていきます。やってあげるときは、自分の体重をうまく利用するようにすると、無理なく、快適な圧迫ができます。急に強く押すと痛めますから、注意しましょう。
③こねるようにもむ(揉捏[じゅうねつ]法)
親指とほかの4本の指で挟んでもみますが、ただ指を開いたり閉じたりする動きではうまくほぐせません。親指と4本の指の腹で軽つまんだら、手(指)は動かさず、ひじや肩を回すようにして、手で挟んだ部分を回転させてもんでいきます。
④親指の腹で押す(指圧)
爪を立てないように、親指の腹全体でゆっくりと下へ押し込んでいきます。少し痛い程度まで押し込んだら、しばらくそのままにし、ゆっくり放していきます。指で触れて硬く感じるところは、いきなり強く押さず、やさしく、繰り返し押し込んでいきます。
⑤筋肉に振動を起こすようにふるわせる(振戦 [しんせん]法)
てのひら全体で軽くつかむようにして、軽く押しながら素早くふるわせます。揉捏法と同じように、
あまり手に力を入れず、ひじや肩の動きで行うようにします。バイブレーターを利用しても同様の効果が得られます。
⑥軽くたたく(叩打法)
手でたたく方法です。軽くこぶしを握ってたたく、指を伸ばして空手チョップのようにしてたたく、てのひらをくぼめて空気をはさむようにたたく、軽く伸ばした5本の指の腹でたたく、手を裏返して指の背側でたたく、などの方法があります。
《マッサージ1セット》
準備:マッサージする手を、あらかじめ十分に温めておきます。 てのひらを20回ほどすり合わせると、カンタンに温まります。
(1)肩、首筋、背中、腕全体を、さすったり、てのひら全体でゆったり押さえたりする。
(2)それぞれの部位の筋肉を、こねるように、軽くもみほぐす。
(3)指先、親指の腹、手の付け根、こぶしなどで、もんだところをゆっくりと圧迫する。関節に近い、筋肉から腱に移っていく境目あたりが効果的。
STEP3
筋肉を伸ばすための方法(ストレッチ)
~体の老化を予防し、若々しさを保つ~
筋肉は、収縮して関節を動かしています。使わないと萎縮して硬くなり、同じ姿勢を続けていると、しだいに柔軟性が失われていきます。
ストレッチは、縮んで拘縮した筋肉を無理なく伸ばすことによって、筋肉内の血液循環の改善をはかる体操です。スポーツのウォー ムアップ、クールダウンには欠かせません。
ストレッチを行うと、老廃物をためこんだ血液が筋肉から排出され、かわりに酸素と栄養に富んだ新鮮な血液を取り込むことができます。疲労回復、関節のスムーズな動き、痛みなどの症状の緩和、スポーツ前のケガ予防、さらにリラクゼーション、内臓の機能向上、新陳代謝の促進など、さまざまな効果が期待できます。基礎代謝アップも、その一つです。
ストレッチには、伸ばしたままじっとしている静的なストレッチ(スタティック・ストレッチング)と、関節を曲げたり伸ばしたりしながら行う動的なストレッチ(ダイナミック・ストレッチング)があります。一般的には静的なやり方が安全でオススメです。
基本的な注意点としては、
①反動をつけず息を吐きながらじわじわと伸ばす、
②伸ばし たら10~30秒ほど姿勢を保つ
③伸ばした筋肉を意識する、
④伸ばし終わった瞬間の血流を感じる、
⑤ガマンするほど無理をしない、
⑥できるだけ自分の体重を利用し、よけいな力は使わない、
⑦他人と比較しない、などです。
楽しくやるようにすること、音楽を聞くなどして、リラックスして継続することも大切です。
STEP4
筋肉にちょっと力を入れる(軽運動)
~適度に使うことで、筋肉・体は回復する~
当たり前のことですが、ジョギングや筋トレといった「運動」の習慣がない人も、日常生活のなかではいろいろな動きをしています。歩く、イスから立ち上がる、扉を開ける、荷物を持つ、掃除機をかける‥‥それは非常にさまざまな動きです。よく考えてみると人間の体は、いろいろな動きができるものだと感心してしまいます。
「運動」を続けていなくても、日常生活の身体活動で「筋肉を収縮させて関節を動かしている」わけですから、
それが適度に行われていれば筋肉(関節)の柔軟性は保たれます。
ところが、400以上もある人間の筋肉は、当然ながら使われる頻度がすべて同じではありません。
胸の前にある筋肉(大胸筋)や脇の下の筋肉(広背筋)は何かとよく使われるので「こる」ようなことはありませんが、肩の上にある筋肉(僧帽筋)、肩甲骨の間にある筋肉(菱形筋)はほとんど使われず、収縮しないので、硬くなって衰えていきます。
動作で言えば、
①手を上に上げる動き、
②腰をそったり曲げたりする動き、
③ももを内側・外側に動かす動き、
④腰をひねる動き、などです。
筋肉を意識的に動かしてあげようというのが「筋肉にちょっと力を入れる」とか、軽運動と呼ぶエクササイズ。
例えば
①大きく伸びる、
②あくび、
③腕まわし、
④肩の上げ下げ、
⑤腰まわし、
⑥ひざの屈伸、
⑦首まわし、などです。ラジオ体操も軽運動です。
筋力がなくて肩や首がこる場合は、手で頭を反対側から支えてもらって力を入れる、というような方法もあります。
STEP5
筋トレ、有酸素運動
~生きる活力(健康度)と生命美のレベルを上げる~
STEP1~4を複合的に行うと、血液循環がよくなって基礎代謝が上がり、「燃費の悪い体」ができてきます。次はそれを維持し、さらに健康的で美しい肉体を手に入れる段階に入ってきます。筋トレや有酸素運動を習慣化し、強い肉体をつくっていくのです。
①筋トレ
筋力トレーニングは、筋肉に重さ(負荷=レジスタンス)を与えて耐えさせます。筋肉は負荷を加えると細胞が代謝され、新しい細胞に生まれ変わります。2~3日の休息で以前よりも太く回復。これを「超回復」と言います。ダンベルなどの器具を使うと効果的ですが、腹筋運動や腕立て伏せ、スクワットのように自分の体重を利用しても行えます。
②有酸素運動
筋トレは瞬間的に大きな力を発揮するトレーニングで、主に酸素を使わないエネルギー代謝によって行われます。これに対して有酸素運動は呼吸で得た酸素を使えるので、長時間、運動を続けられます。
体脂肪をエネルギー源とするのでダイエットに効果的と言われますが、タンパク質を十分に摂取しないで激しい有酸素運動を行うと筋肉が落ちてしまうので注意しましょう。